オリジナルサスペンス
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第4話
次の日、由理は陽奈と共に出勤した。
いつも見る机に真の姿はいない。
由理は何も考えないようにと必死に仕事をこなしていった。
「ねぇねぇ、今日花本ルリコが会社を無断欠勤してるって知ってた?」
近くで話し声が聞こえる。そういえば今日一回もルリコは由理の前に現れていない。
「知ってる知ってる。しかも家の電話にもケータイにもつながらないんでしょ?上司が今までになくカンカンでさぁ。」
「へぇー、あの人にしてはめずらしいわねぇ。やっぱり関野課長がああなっちゃったから?今回はすごい入れ込みようね。いつもすぐに飽きるのに。」
「それはぁ、ライバル心よ……ほらぁ…。」
ガタッ。
由理は席を立った。しゃべっていた二人は慌てて机に向かう。
陽奈は廊下に出て行く由理の後を追った。
「ねぇ由理、由理?さっきのは…。」
「変よ、ねぇ?」
「え?」
「花本ルリコ…来てないの、会社に……。」
「何?さっきの話のこと?」
「だって、何か怪しくない?」
「由理?」
「…昨日ずっと私の後を付いてきた人がいたの。気配だけで姿は見えなかったけど、もしかしたら……。」
「もしかしたら…?」
「ううん、そんなわけがないわ。ごめん、今日は早退してもいいかな?なんだか調子が悪い……。」
「じゃあ私、係長に伝えておくわ。ゆっくり休んでね!あっ、そうだ賢人に見てもらうといいんじゃない?話もあるって言っていたし。」
「ああ、うん、そうね。ありがとう。じゃ、荷物取ってくるわ。」
由理はそういうと部屋に戻り、荷物をとってきた。
「じゃあ、何かあったらすぐに私に連絡するのよ。由理のもとへすぐに行くからね。」
「陽奈…ありがとう。」
そして由理は会社を早退し、病院へ向かった。
陽奈は由理の後姿を見送りながら一筋の涙が頬をつたった。
「やあ、来てくれたんだ。」
精神科の入り口でポケッと立っていた賢人は由理を見つけるなり、慌てて由理のほうへ向かった。
「陽奈が名古くんの所に行ったほうがいいって言うもんだから…あの、話というのは?」
「まぁ、入って入って。」
「え?診察はないんですか?」
「ああ、今日は午前中だけなんだ。」
「すいません、もしかして今日私が普通に会社が終わってから来たら大変でしたよね?」
「いやいや、大丈夫だよ。カルトや資料の整理があったりするから平気さ。」
そして二人は診察室に入っていった。
to be continude...