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オリジナルサスペンス
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第10話
「あ………?」
由理は目が覚めた。自分の腕に点滴が…どうやらここは病院の一室であると気づき、起き上がろうとした。
「……あれ?」
起き上がれない。何度も強く起き上がろうと気持ちが思っても体がついていかない。
「私…私は……。」
そしてふと横を見ると、白衣を着た人が椅子に座り腕を組んでうつむいている。
よーく見てみると、見た事がある人……。
「……名古くん?名古くん?」
「ん……?」
由理の声に反応したのか、その人は腕を組んでいた手が崩れ、ガクンと体制が崩れた。
「うおっ!?」
そして目が覚めたようで、ふっと由理を見た。
「……。」
「ゆ、由理……いや、都さん?気がついたのですか。気分の方は?大丈夫ですか?」
賢人は由理の顔を見て慌てて言った。
由理は首をゆっくり横に振った。
「…私、起き上がれない……。」
賢人は由理に優しく微笑み、言った。
「ずっと何も食べてなかった上に、全力疾走でここに走ってきたのだから倒れるのは当たり前ですよ。今夜は病院に泊まっていってください。明日になれば歩くぐらいには回復できますから…」
「……名古くん。」
「ん?何?」
「真は……?」
賢人はその言葉にビクッとした。しかし、すぐに言葉を返した。
「大丈夫……心配は要らないよ。」
「そう…よかった……。」
由理は賢人の反応に気づかず、天井の方を向いた。
「私……真に何もしてあげられないのね……真だって頑張ってるのに、私なんかこんなふうに人に迷惑かけるばかりで……。」
由理の目から涙がこぼれた。
「都さん、大丈夫。今はゆっくりと休んで……。後は俺に任せて……。」
賢人はそうゆっくりと言い、由理の頭を撫でた。
「名古くん……。」
賢人の手の暖かさに安心したのか由理はそのまま深い眠りに落ちた。
「……都さん…俺…本当のことは言えない……。今はずっと何も知らずにいてほしい……。」
賢人はそう静かに言って、しばらく由理の頭を撫でていた。
由理は気づかずにいた。自分の周りで起きている変化と、自分の心の中でおきている変化を……。
「どうしたんですか?あなたからここにやってくるなんて。」
「……調べてほしいことがあるんです。」
ここは某警察署。
陽奈は日斗警部に会いに来たのだ。その顔はとても思いつめた表情だった。
「あ~先ほどまた病院であったでしょ?殺人事件。その調査もあって私は忙しいのですよ。あなたの相談は私じゃなくてほかのヤツにしてくださいよ。」
適当なこと言うヤツ…日斗警部。
しかし、実は彼の頭はもうパニックに陥っていた。
―――関野真は一体誰に殺されたんだ?花本ルリコか?年齢不詳?都由理?名古賢人?木上陽奈?アリバイは?あー俺は一体誰なんだぁ!?
「警部さん?」
頭を抱え、心で叫ぶ警部を不信な面持ちで見ながらも、陽奈は声をかける。
「うあああっ!やめてくれぇ!!もういやじゃっ!」
もう、変な妄想に冷静さも何もない。
陽奈を相手に、意味不明に手を振り回して叫び始めた。
ドンッ!
「警部さん!!もしかしたら犯人がわかるかもしれないんですけどっ!!!」
陽奈は机を思い切り叩いてそう警部に強く言った。
「……うえぇっ!?」
警部はあまりの衝撃的な言葉に意味のわからない高い声を上げ、陽奈を見た。
「もう…しっかりしてください!」
呆れている陽奈。日斗警部はサッと髪を整え、冷静さを取り戻して言った。
「あぁ……木上さんですよね?少々取り乱してしまいました。……犯人のことことなのですが、どうやら関野真を殺したのは、あの花本ルリコに間違いないようですな。」
「でも、証拠は?」
日斗警部は手元に持っていた事件の調査書を広げながら言った。
「指紋が見つかったんですよ。あの集中治療室の壊れた機械や、薬品の棚、ガラスなどのいたるところから彼女の指紋が……。」
「真くんはいつごろ殺されたのですか?」
「そうですねぇ……夕方の四時すぎから五時のあたりじゃないですかな?私がちょうどあなたたちから連絡を受けてあの病院に……。」
「それ、おかしくないですか?私たちが警察を呼んだのは、花本ルリコが死んだからですよ?しかも一時間くらい前に。賢人の前で…。」
「はっ!?確かにおかしい…看護婦の話だと、三時から四時までは何も不信な人は見ていないし、その場にいたから何もなかったと言っていた……。」
ガタンっ! 二人は同時に立ち上がって同時に言った。
「これは何かある!!!」
ここに日斗&木上コンビ結成。二人は急いで外を出た。
向かうは最初の事件。真が刺された場所、駿河公園……。
to be continude...